
今回は、IT導入補助金の「通常枠」について詳しく解説いたします。この補助金は、特にIT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組みたい中小企業・小規模事業者にとって、非常に有用な制度です。この記事を読んで、貴社のIT導入計画を進める際にお役立てください。
IT導入補助金とは?
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が自社の業務を効率化し、
売上を向上させるためにITツールを導入する際、その費用の一部を補助する制度です。
この補助金により、事業者は新しいシステムを低コストで導入でき、業務の改善や生産性向上に役立てることができます。
補助金は、特に「業務効率化」「生産性向上」「売上アップ」を目指す企業に適用されます。
特に今回フォーカスする「通常枠」は、ITツールの導入に大規模な投資を行いたい場合に最適です。
通常枠の概要
通常枠は、ハードウェア(パソコンやタブレット)の購入が主目的ではなく、大規模なシステム導入や業務全体のIT化を進めたい企業に向いています。
- 補助金額:最大450万円
- 補助率:1/2(事業者負担は50%)
- 補助対象:業務効率化や売上アップを目的としたITツールの導入
- 申請締切:2024年10月15日まで
通常枠で補助対象となる経費
1. ソフトウェア費用
通常、IT導入にかかるソフトウェアの購入費用が補助対象です。
クラウド型ソフトウェアを導入する場合、最大2年間分のクラウド利用料が補助されます。
2. 導入関連費
システム導入に伴う以下の費用が補助対象になります。
- オプション費用:セキュリティ対策、データ連携ツール、拡張機能など
- 役務提供費用:導入コンサルティング、設定サポート、マニュアル作成、研修、保守サポートなど、システム導入に必要なコンサルティングや技術的なサポート費用
特に導入コンサルティングやサポート部分も補助の対象となる点が、通常枠の大きな魅力です。
IT化を初めて進める企業にとって、しっかりとしたサポートを受けられるのは大きなメリットです。
プロセス数による補助金額の変動
通常枠の補助金額は、導入するITツールが対応する「プロセス」の数によって変動します。
プロセス数が多ければ多いほど、補助金額の上限が上がる仕組みになっています。
プロセス数 | 補助金額 |
---|---|
1プロセス以上 | 5万円以上150万円未満 |
4プロセス以上 | 150万円以上450万円以下 |
プロセスの種類
導入するITツールがどの「プロセス」に対応しているかを確認することが重要です。以下が代表的なプロセスです。
- 顧客対応・販売支援:顧客対応や販売支援を効率化するシステム
- 決済・債権債務・資金回収管理:決済処理や債権債務の管理を行うシステム
- 供給・在庫・物流管理:供給チェーン、在庫、物流を管理するシステム
- 会計・財務・経営管理:会計や財務、経営全体の管理をサポートするシステム
- 総務・人事・給与・労務管理:人事や給与、労務管理に関するシステム
- 業務固有プロセス:業界特有の業務に関するシステム(業種特化型)
- 汎用自動化・分析ツール:特定の業種に依存せず、幅広く使える自動化や分析ツール
最低1つのプロセスを含むITツールを導入することが必須条件です。さらに、プロセスを複数導入することで、より高額な補助金が得られます。
通常枠が向いている企業
- 大規模なシステム導入を考えている企業:通常枠は、業務全体を大規模にIT化したい企業に最適です。特にDXを進めたい企業は、この枠を活用することで効率的なシステム導入が可能になります。
- サポートやコンサルティングを必要とする企業:システム導入時のコンサルティング費用や設定サポート費用も補助対象となるため、初めてIT導入に踏み切る企業にも安心です。
- 複数プロセスにわたるITツールを導入したい企業:多くの業務プロセスに対応したシステムを導入する場合、通常枠はより多額の補助金が期待できます。
導入事例
事例1:林業
導入内容:ドローンと3D GISツールを活用し、森林調査を行うシステムを導入
効果:森林調査に必要な人員が約80%削減され、効率化を実現
事例2:宿泊業
導入内容:クラウド型のホテル管理システムを導入し、遠隔地からでもリアルタイムで業務を管理
効果:業務効率化が進み、複数拠点での管理が容易に
事例3:小売業
導入内容:販売管理システムと在庫管理システムを導入し、業務のDX化を推進
効果:出荷対応能力が向上し、売上増加と販路拡大が実現
申請に向けたポイント
1. 必要な準備
- GビズIDの取得
- セキュリティアクション宣言:IT導入に必要なセキュリティ対策を実施するための宣言
- みらでじ経営チェック:企業の経営状況やIT導入の適合性をチェックするツール
これらの準備が整っていないと、補助金申請ができないため、早めに準備を進めておきましょう。
2. 支援事業者の選定
IT導入補助金を申請するためには、必ず「IT導入支援事業者」と呼ばれる登録事業者と協力して進める必要があります。
支援事業者は、ITツールの導入支援や申請手続きの代行を行ってくれます。
支援事業者を選定する際は、自社のニーズに合ったITツールを提供している事業者を探しましょう。
3. 早めの申請
補助金の申請は、締め切りが迫っていることが多く、準備が整っていないとチャンスを逃してしまいます。
締め切りが過ぎた場合でも、次回の申請に備えて早めに準備を進めることが大切です。
まとめ
IT導入補助金の「通常枠」は、大規模なIT化やDX推進を目指す企業にとって非常に有益な補助金制度です。
特に、導入サポートやコンサルティング費用まで補助の対象となる点が、他の枠と比べて大きな魅力です。
プロセス数に応じて受給できる補助金額が変動するため、導入するITツールが何プロセスに対応しているのかを事前に確認し、計画を立てましょう。
もし通常枠を活用してIT導入を進めたいと考えている方は、早めに支援事業者に相談し、必要な手続きを進めてください。
IT化を通じて業務効率化や売上アップを目指すなら、通常枠の補助金は非常に効果的な手段です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
IT導入補助金に関する無料診断も行っておりますので、ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。